足の専門医による診断と治療
「歩くと足が痛い」
「かかとの痛みがなかなか治らない」
「足の指の付け根がしびれる」
「外反母趾だと思うけどこのまま様子見ていいのか不安だ」
「足首を挫いた後になかなか痛みが取れない」
足の痛みは、足の骨・靱帯・腱・神経など様々な原因で起こります。
同じ「足の痛み」でも原因が異なれば、治療法も大きく変わります。
そのため、正確な診断と適切な治療選択がとても重要です。
わせだ整形外科では、足の疾患を専門的に診療する「足の痛み外来」を行っています。
歩き方や足の形(アライメント)を評価し、患者さん一人ひとりに合わせた治療を行います。
当院の足の治療の考え方
当院ではできるだけ身体への負担が少ない治療から段階的に行うことを大切にしています。
① 保存療法(保険診療)
まずは基本となる治療を行います。
- 運動器リハビリテーション
- 装具療法(インソール)
- 生活指導
足の疾患の多くは、足のバランス(アライメント)を整えることで改善することがあります。
② 先進的な治療(保険外診療)
保存療法で改善しない慢性痛に対しては次の治療を検討します。
*足底腱膜炎では体外衝撃波治療は保険適応となっています。
③ 手術療法
保存療法でどうしても改善しない場合や構造的な問題がある場合には手術を検討します。
当院では必要な場合のみ手術を提案しています。
足底腱膜炎
足底腱膜は、かかとの骨から足の指まで伸びている強い腱の膜で、足のアーチ(土踏まず)を支える重要な組織です。
歩いたり走ったりするときに
- 地面からの衝撃を吸収する
- 足のアーチを保つ
という役割を担っています。
しかし、繰り返しの負荷がかかることでかかとの骨に付着する部分に微小な損傷や炎症が起こり、痛みが生じます。
足底腱膜炎の原因
以下のような要因が関係します。
- 長時間の立ち仕事
- ランニングやジャンプ
- 体重増加
- 足に合っていない靴
- 足のアーチ低下(オーバープロネーション)
- 足のアライメント異常(Knee in-Toe out)
これらが原因となって踵に負担が集中することが原因になります。
当院の足底腱膜炎の治療
①運動器リハビリテーション
重要なのは
- アキレス腱と足底腱膜のストレッチ
- 歩き方のバランスや姿勢の改善
です。
足底腱膜炎ではアキレス腱の硬さが関係することが多く、ストレッチによって負担の軽減を図ります。
②装具療法(インソール)
足底腱膜炎では、足のアーチを支えることが非常に重要です。
インソール(足底装具)は
- 足のアーチを支える
- 衝撃を分散する
- 足底腱膜の張力を調整する
ことで足底腱膜へのストレスを軽減する効果があります。
そのため足底腱膜炎の治療ではインソールは重要な治療の一つです。
③体外衝撃波治療
慢性化した足底腱膜炎では体外衝撃波治療が有効です。
衝撃波を患部に照射することで
- 組織修復促進
- 痛みの改善
が期待できます。
足底腱膜炎では体外衝撃波治療が保険適応となっています。
④動注治療(保険外診療)
足底腱膜炎ではしばしば超音波(エコー)で腱膜の肥厚が見られます。
このような場合には慢性的な炎症が続いていると考えられ動注治療が有効です。
超音波(エコー)検査で足底腱膜の肥厚を認めます
正常な足底腱膜の厚さは一般的に約2〜4mm程度ですが、4mmを超える肥厚がみられる場合は、足底腱膜炎を示唆する重要な所見の一つとされています。
- 異常血管の血流を抑える
- 慢性炎症を鎮める
ことで痛みの改善を目指します。
外反母趾
親指の付け根の痛み・変形でお悩みの方へ
「親指の付け根が出っ張って痛い」
「靴を履くと痛い」
「足の形が変わってきた」
このような症状がある場合、外反母趾の可能性があります。
外反母趾は、足の親指(母趾)が外側に曲がり、親指の付け根の関節が変形する疾患です。
女性に多く、靴の影響や足のアライメント(骨の並び)が関係します。
進行すると母趾以外の足趾の変形(ハンマートゥ)を起こし足趾の背側や足底に胼胝(タコ)ができることもあります。
外反母趾の原因
外反母趾の原因は一つではありません。
主な要因
- 足のアーチ低下
- ハイヒールなど靴の影響
- 遺伝的要因
- 関節のゆるさ
足のバランスが崩れることで母趾を含めた足の前方部分に負担が集中し変形が進行します。
当院の外反母趾の治療
①運動器リハビリテーション
足趾の筋肉を鍛え足のバランスを改善します。
②インソール療法(装具)・靴の調整
インソールで足のアーチを支えるなどにより集中した圧を分散させ痛みの緩和を試みます。
特に
- 扁平足で足のアライメント異常
- 母趾以外の足趾の裏に胼胝
がある場合に有効です。
さらに、足に合った靴を選ぶことで痛みの軽減を図ります。
③動注治療(保険外診療)
外反母趾では親指の付け根の内側が赤く腫れている症状が見られることがあります。
このような場合には慢性的な炎症が続いていると考えられ動注治療が有効なことがあります。
④手術療法
保存療法でも痛みが取れない場合や変形が強い場合には手術を検討します。
一般的には矯正骨切り術(人工的に骨折を起こして骨の向きを変える手術)が行われています。矯正骨切りの方法としては様々な方法がありますが、当院では術後早期からのリハビリが可能となるスカーフ法を主に行っております。
▲術前(左)/術後1年(右)
入院期間は親指だけの変形の場合は3~4日間ですが、変形がほかの指にもおよぶ場合にはそれらの指の治療も必要となるため2週間程度になります。術後4~6週間は手術をした足の前のほうに負荷がかからないような特別な靴を履いて通院して頂きます。
モートン病
足の指の付け根の痛み・しびれでお悩みの方へ
「靴を履いて歩くと足の前の方が痛くなる」
「足の指がしびれる」
「小石が入っているような感じがする」
このような症状がある場合モートン病の可能性があります。
モートン病の原因
主な原因
- 足のアーチ低下(足幅の増大)
- ハイヒールなどの合わない靴
- 歩行バランスの異常
などの要因で足趾の間を通る神経が圧迫されることにより痛みが発生します。
多くの場合第3〜4趾の間に起こります。
当院のモートン病の治療
当院ではインソール療法(装具)を中心に治療します。
インソールにより前足部のアーチを支え神経への負担を軽減することで症状の改善が期待できます。
長期間改善しない場合には手術を検討します。
アキレス腱付着部症
かかとの後ろの痛みでお悩みの方へ
「かかとの後ろが痛い」
「運動すると痛みが強くなる」
「アキレス腱の付け根が腫れている」
このような症状がある場合アキレス腱付着部症の可能性があります。
アキレス腱付着部症はアキレス腱がかかとの骨に付着する部分に炎症が起こる疾患です。
アキレス腱付着部症の原因
- スポーツ
- ランニング
- ジャンプ動作
- アキレス腱の硬さ
- 腱の変性
などアキレス腱への繰り返しの負荷によって付着部に炎症が起こります。
当院のアキレス腱付着部症の治療
当院では
などを行います。
特に慢性的な痛みには動注治療が有効なケースがあります。
健康なアキレス腱の内部には、血管はほとんど存在しません。ところが炎症が長く続くと、腱の内部や踵骨付着部周囲に異常な新生血管(モヤモヤ血管)が増殖します。
カラードップラーで赤・青・橙が混在するモザイク状のパターンが見られる場合、これが病的な新生血管の存在を示すサインです。
上の画像はアキレス腱のカラードップラー画像です。踵骨付着部周囲に乱流を伴うモザイク状の血流信号が確認されており、慢性炎症による新生血管が増殖していると判断されます。
慢性的なアキレス腱炎では、このような血流増加(新生血管)が痛みの持続に関与していると考えられています。当院では、超音波で炎症や血流を確認しながら、リハビリテーションや体外衝撃波治療、必要に応じて動注治療などを組み合わせ、症状や病態に応じた治療を行っています。
距骨骨軟骨障害(離断性骨軟骨炎)
捻挫後の足首の痛みが続く方へ
「捻挫してから足首の痛みがなかなか治らない」
「腫れは引いたのに、足首の奥が痛い」
「スポーツをすると足首が引っかかる感じがする」
このような症状がある場合、距骨骨軟骨障害の可能性があります。
距骨の骨軟骨障害は、足首の捻挫や繰り返しの負担によって距骨の軟骨とその下の骨(軟骨下骨)が損傷する疾患です。
足首の深部の痛み・腫れ・不安定感などの症状が続くことがあり、レントゲンでは見えにくく、MRIで初めて診断されることも少なくありません。
距骨は血流が乏しい骨であるため、一度損傷を受けると自然治癒しにくい特徴があります。そのため、骨と軟骨の修復を積極的に促す治療が重要です。
距骨骨軟骨障害の症状
次のような症状がみられます。
- 足首の奥の痛み
- 運動時の痛み
- 足首の腫れ
- 足首の動かしにくさ
- 関節が引っかかる感じ(ロッキング)
足首の捻挫のあとに痛みが長く続く場合にはこの疾患が隠れていることがあります。
距骨骨軟骨障害の原因
主な原因は
- 足首の捻挫
- スポーツ外傷
などです。
捻挫の際に距骨が脛骨と衝突し、関節軟骨や軟骨下骨が損傷することで発症します。
また、足首が不安定であることが症状を増幅させます。
距骨骨軟骨障害のMRI画像(左)/内視鏡所見:関節鏡で軟骨が剥がれているのが見える(右)
当院の距骨骨軟骨障害の治療
①運動器リハビリテーション
足首の安定化を目的として
- リハビリテーション
- 装具療法
を行います。
②体外衝撃波治療(保険外診療)
体外から照射する衝撃波が損傷した軟骨下骨に作用し、血流の改善と組織修復シグナルを促します。距骨のような血流の乏しい骨においても、衝撃波による血管新生促進と骨修復の活性化が期待されます。骨髄浮腫を伴う症例に対しても、骨内の循環改善を通じた疼痛軽減効果が報告されています。
③再生医療:PRP療法(多血小板血漿注射)(保険外診療)
患者さんご自身の血液から抽出した成長因子(TGF-β・IGF-1・PDGFなど)を足関節内に注射します。これらの成長因子が軟骨細胞の修復を促し、関節内の炎症を調整します。距骨骨軟骨障害に対するPRP療法は、軟骨保護と骨軟骨ユニットの修復促進を目的として行います。
距骨骨軟骨障害(OLT)のMRI画像。白く光る部分が骨髄浮腫で、距骨内部の炎症と骨軟骨損傷を示しています。
④手術療法
保存療法で改善しない場合や軟骨の損傷が大きい場合には手術を検討します。
変形性足関節症
足首の痛み・歩きにくさでお悩みの方へ
「歩くと足首が痛い」
「長く歩くと足首がつらい」
「足首の動きが悪くなってきた」
このような症状がある場合、変形性足関節症の可能性があります。
変形性足関節症は、足首の関節の軟骨がすり減ることで痛みが生じます。
足首のアライメント異常や、捻挫を繰り返す患者さんに発生することが多い疾患です。
変形性足関節症の症状
主な症状
- 歩行時の足首の痛み
- 足首の腫れ
- 足首の可動域制限(動きが硬い)
- 長時間歩くと痛みが強くなる
初期は「歩き始めが痛いが、少し歩くと楽になる」という症状がみられることがあります。
変形性足関節症の原因
変形性足関節症の原因として多いのは
- 足首のアライメント異常
- 足首の捻挫の繰り返し(関節の不安定性)
- 足首の骨折
- 関節リウマチ
などです。
特に日本では捻挫や外傷の後遺症として起こるケースが多いといわれています。
当院の治療
①保存療法
- 運動器リハビリテーション
- インソール療法(足底装具)
- 足関節のサポート
足のアライメントを整えることで痛みが軽減することがあります。
②手術療法
症状が進行し、保存療法で痛みが改善しない場合には手術を検討します。
変形性足関節症に対しては関節軟骨の損傷の程度が軽い場合には関節の傾きを調整して骨同士の接触の偏りを矯正する“低位脛骨骨切り術”を、関節の破壊が著しい場合には、人工足関節形成術もしくは関節固定術を行っております。
▲人工足関節(左)/低位脛骨骨切り術(右)
進行性扁平足(後脛骨筋腱機能不全)
足の内側の痛み・扁平足でお悩みの方へ
「足の内側が痛い」
「土踏まずが下がってきた」
「歩くと足が疲れやすい」
このような症状がある場合、進行性扁平足(後脛骨筋腱機能不全)の可能性があります。
後脛骨筋腱は、足の内側を通り土踏まず(足のアーチ)を支える重要な腱です。
この腱や周囲の靭帯が弱くなると、足のアーチが崩れて成人期扁平足の原因となります。
進行性扁平足の症状
次のような症状がみられます。
- 足の内側の痛み
- 土踏まずの低下(扁平足)
- 足が疲れやすい
- 足首の内側の腫れ
進行すると
- 足首の外側の痛み
- 足の変形の進行
- 歩行障害
などが起こります。
進行性扁平足の原因
主な原因は
- 加齢による腱の変性
- 体重増加
- 扁平足
- 足のアライメント異常
などです。
足のアーチを支える腱や靭帯に負担がかかることで徐々に扁平足が進行します。
当院の治療
①インソール療法(足底装具)
進行性扁平足ではインソール療法が第一選択の治療です。
足のアーチを支えることで
- 後脛骨筋腱・内側の靭帯への負担軽減
- 足のバランス改善
が期待できます。
②運動器リハビリテーション
足の筋肉を強化しアーチを支える力を高めます。
③手術療法
変形が進行している場合や保存療法で改善しない場合には手術を検討します。
まとめ
足の痛みは原因が様々で適切な診断がとても重要です。
わせだ整形外科では
などを組み合わせて患者さん一人ひとりに合った治療を行っています。
足や足首の痛みが続く場合は是非ご相談ください。